着物でお出掛けの心得

着物精神論
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初心者が着物を着てお出かけする時、どうしても気になってしまうこと第一位は人の目ではないでしょうか。

自分の着姿に慣れていないと、自分から見ても街の風景に浮いてしまっている感じがしてしまうんですよね。

でも、それを気にしていたら肝心のお出掛けも着物を楽しめません。

自分のために着物を着ている場面では尚更です。

なので私は着物を着始めた頃、初心者なりに着物を着てお出かけする時の心得を四つ作りました。

Threadsでも多くのイイねを頂いたこの心得、今でも頼りにしています。

その一、皆スマホの中しか見ていない

着物を覚え始めたころから、着付け教室には頑張って着物を着て行きました。

練習のためと、自分のテンションを上げるため。

衿が左右非対称でも、裾の長さが短くても、裾窄まりになっていなくても、お太鼓が曲がっていても、着付け教室へ行くだけの時間でも、着物は特別なものにしてくれました。

着付け教室へは電車で行っていたんですけど、最初は走ってもいないのに心臓がバクバクでした。

変じゃないかと思いつつ、でも好きで着てるし、フォーマルな場に行くわけじゃないしと、噂の着物警察に出会ったときの言い訳ばかり考えていました。

でもふと、車内を見る機会があって。

混雑している時間帯ではなかったんですけど、座席に座っている人も、立っている人も、みんな俯き気味に手元のスマホを見ているんですよね。イヤホンもして。

その時思ったんです。自分を一番気にしているのは自分だけだって。

電車で一緒になっただけの他人のファッションなんて、スマホの中以上に興味を持つものではないんですよね。

その二、背筋伸ばして前を向いていれば何とかなる

姿勢が悪いとそれだけで印象が悪くなるのは誰だって知っていることですよね。

背筋を曲げて重そうに怠そうに座っている人と、背筋を伸ばしてちゃんと顔が見える人と、どちらが好印象かなんて言うまでもないこと。その人の内面を知らなければ尚のことですよね。

あと、自信の無さも気をつけなければ姿勢に現れてしまいます。

言い方は悪いですが、自信の無さは他者に付け込まれる理由になります。

善意にも、悪意にも。

だから私は前を向きます。立っている時も歩く時のように。

背筋を伸ばして前を見ることで、無理やり自分の気分を上げます。その日の着付けが上手くいかなかったとしてもです。

気にしているのは自分の着姿ではなく、着物を着てお出かけする先とその道中だと。

着付けが綺麗かどうかをずっと気にしていては少しの外出でも楽しめません。むしろこれからのお出かけもずっと億劫になってしまいます。

目に入る粗よりも、自分が楽しめるかどうかの方が大事だと思うんです。

じゃないとせっかくの着物も、お出かけも、もったいない。

もちろんその粗は自分の伸びしろですので、いつまでも目に入れない選択をするのももったいないので、外出している時限定です笑。

その三、歩幅は気にしない

着物を着て洋服を着ている時と同じように歩くと上品には見えません。

よく聞くのは着物の時は、歩幅を狭く、少し内股にして、すり足で歩く、ということ。

洋服の時のように歩いてしまうと、裾が大きく捲れたり、草履がぱたぱたと音を立てたりします。

これらは着物らしい美しい姿ではないんですよね。

せっかくの着姿がもったいないなんて言われてしまうかもしれません。

けれど、それが何か?

と胸を張って心の中で言っておきましょう笑。

裾が捲れることや草履の音を下を向く原因にしたくないって思ったんです。

それこそせっかく着物を着ているのにもったいないじゃないですか。

もちろん、上品に見せることができる人に惹かれます。

上品な所作、上品な動きができる人って中身も上品な方ですよね。

ですがまだ自分はそのレベルに至っていないので、未だに裾を大きくひらひらさせて歩いています。冬であれば八掛(着物の裏裾や袖口につける布)を自慢する勢いで。

だって、着物を着て外に出ることが一番大事じゃないですか。

着付けの先生もそう繰り返し教えてくれました。

そろそろ忙しなく動こうとする人間から卒業し、ゆったりと余裕のある上品な人間になりたいと思うのですが、上手くいかないのが現状です。

歩幅、今でも狭くなりません。

狭くする気ありますか?と聞かれると、正直頷けません笑。

その四、着物を着ている自分最高

もうこれは言葉の通りです。

着付けを学んで、時間をかけて着物を着てるんですよ。自分が好きな着物を着てるんです。

最高じゃないですか。

ファッションは自己表現であり、自己肯定感を上げるものです。

時間をかけてメイクをするのと一緒だと思っています。

周囲の人に不快感を与えず、主役を尊重するフォーマルな場では好きな着物、好きな着こなし、というわけにはいきませんが、プライベートの場のファッションです。

自分が一番自分のことを大事に出来るんです。

その特権を使わないなんてもったいない。

着物がくれる日常と特別感を大事にするため、誰がなんと言おうとそう思うようにしています。

着物はツール

着物を知ると、フォーマルな着物とカジュアルな着物があって、着付けにも違いがあると学びます。

着物は特別な日にだけ着る物ではありませんが、着物が普通の日を特別な日にしてくれます。

着物は時として目的にもなりますが、極端に言えばただのツールです。

自己表現、自己肯定、自己満足のための。

洋服を選ぶ時の理由の多くの場合は人にどう見られるかではなく、自分がどう見てどう感じるかのはず。

カジュアルな場の着物も同じです。

人の目が気になってしまう方、気づけば下を向いてしまっているという方の、ひとつの参考になれば嬉しいです。

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