夏だ!お祭りだ!
ということで、この時期に電車に乗ると浴衣を着る方が目に入ります。着物好きとしては、
眼福!かわいい!
なんて思いながら、ちらちら見てしまう怪しい人になってしまってるのが現状です笑
着物界隈では究極のカジュアルに分類される浴衣ですが、現代ではオシャレなファッションとして確立されている気がします。
素材や柄を選んで仕立てまでしてしまうと万単位の高価な浴衣になってしまいますが、プチプラ価格でもかわいいものがたくさん売られています。呉服屋さんの店頭でもお手頃価格で並んでいたり、イオンなどのショッピングモールでも売っているので、この時期になるとついつい覗いてしまいます。
浴衣は究極のカジュアル
着物って難しい。
そう思っている方でも浴衣なら、とお祭りなどの機会に着てみようと思う方も多いと思います。
着物業界に足を踏み入れたばかりの私も、初めて行く着付け教室のお出かけイベントは浴衣でした。
浴衣も帯も下駄も買って、一万円と数千円。
ですが、着る物がそろったところでひとつ問題が発生しました。
それは下駄に足袋を合わせていいのかどうか。
着物を着るようになった今では、浴衣だったらサンダルでもスニーカーでも下駄でも草履でもなんでもいいじゃん、と思えるのですが、知識もなく凝り固まった思考に支配されていた当時はそうもいかず。
慣れない鼻緒で足を痛めたくないし、素足で外に出るのが嫌な人間でサンダルでもストッキングを履きたい族だったので、
ネットで調べたり、本を読んだり、なんとか他の人の言質を取ろうと必死でした。
草履はフォーマルからカジュアルまで使え、下駄はカジュアルのみで履くものです。草履は必ず足袋をはきますが、下駄は足袋を合わせても、素足でもOK。ゆかたにも合わせられます。(マンガで教養 はじめての着物:大竹恵理子監修)
この文章を読んで嬉々として下駄に足袋を合わせようと決めました笑。
こんな風に私は何日も何時間も頭を抱えて悩んでいましたけど、何をどうしたって浴衣ってカジュアル着なんです。
衿をつけなくていい。足袋も合わせなくていい。帯揚げ帯締めもいらない。
元々は蒸し風呂に入るときのもの、風呂上りに着るものです。
洋服で言えばTシャツジーパンです。語源をたどるなら部屋着です。
VネックのTシャツを着ようがラウンドネックのTシャツを着ようが、ビーチサンダルを履こうがオシャレなサンダルを履こうが、組み合わせは自由ですよね。
お祭りをきっかけに、これから浴衣を着ようと思っている人や浴衣を着てみたいと思っている人へ。
浴衣を着る時に頭を抱えるのは決まりではなく、
どの組み合わせが好きか、
どれが自分のテンションを上げるのか、
というところに焦点を当てて出かける準備をしてほしいと思っています。
浴衣で守るたったひとつのルール
決まり事に頭を抱えてほしくないと思っていますが、一つだけ守ってほしいルールがあります。
自分の左側が相手に見えるように(外側になるように)着付けましょう、ということです。
正しく表現すると下記のようになります。
現在は着物を着る時、相手から見て右の衽を上にする「右前」で着ます。(歴史・文化・伝統がわかる 時代考証家のきもの指南:山田順子著)
逆に左前で着るのが死装束です。
究極のカジュアル着である浴衣でも着物であることは変わらないので、それだけはルールで決まっています。
衿あわせが逆の時代もありました。喪服も時代の変化とともに白から黒というルールに変わりました。
このようにファッションのルールは時代によって変化します。今後どうなるかはわかりませんが、今はそうと決まっているのが事実です。
着付け動画を見て真似しても、左右反転していたりしていなかったりで、どっちがどっちなの?ってなりますよね。動画を見て着たのに、意図せず死装束で着てしまったという方もいらっしゃるみたい。
そして上記の引用の文章を読んでも、初心者だったら『それで結局どっちが正解なの?』ってなります。
ぶっちゃけ、私も正直文章を読んでもよくわかりません笑💦
右前、左前どっちなの?ってわからなくなる人は、
自分から見て右側が手前と覚えるといいと思います。そうすると右前と覚えやすいかなと。
そして、着る時に覚えてほしいのは左右左の順番です。
道路を渡るときは右左右ですが、着物を着る時は左右左です。
袖を通して左右の端(衿先から10㎝程上)をそれぞれの手で持ったら、
①左手で前幅を決める。(自分から見て表面の右端から一つ目の縫い目、衽線を右足の親指と人差し指の間に合わせると綺麗)
②幅を変えずに左手を開き、右手で持った方を体に巻き付ける。(余りは折り返す。10㎝ほど、手首を返して上がる分上に上げると裾窄まりになって綺麗)
③左手で持った方を体に巻き付ける。
この順番です。
フォーマルの訪問着なら、相手から広く良く見える左側に柄が集中していることが多いので、初心者の方でも分かり易くあまり間違えないのですが、浴衣はそうではないので。
浴衣は自由!お祭りを楽しんで!
何度も申し上げていますが、浴衣はカジュアル着です。洋服のTシャツジーパン、部屋着です。
綺麗に着るコツはありますが、必ずしも綺麗に着る必要はありません。
帯じゃなくてもいいんです。ベルトだって合わせていいんです。
カバンもカゴバック、巾着、普段使っているカバン、何だっていいんです。
自分じゃない誰かが決めるものではありません。
衣紋を抜きすぎ抜けてない問題や、おはしょりが長い短い汚い問題は、気にしたい人は気にしてください。
今では様々な人が動画で綺麗に着るコツを紹介してくれています。
語源でもある湯上り着としての認識を持ち続けている人は、そんな格好で遠出なんてと言うかもしれません。
そう思う人はそういう格好をしなければいいだけです。
部屋着だったスウェットも、若い子にとってはオシャレ着だと聞きました。
着る物は時代と共に変化します。
今ではワンピース浴衣なる二部式の浴衣も可愛いものがたくさん売られています。暑かったら脱げるタイプで、ワンピースとして着ても普通に可愛いので時代に感謝です。
一番大切なのはどうして浴衣を着たいか、ですよね。
どうして浴衣を着たいのか。
その答えはお祭りを楽しみたいから、が大半ではないでしょうか。
お祭りに行く予定がある人も今はない人も、この時期ならではの浴衣を楽しんで欲しいです。
もちろん、浴衣はお祭り限定のものではないので、よかったら普段からも挑戦してみてください。
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